退職の場面で、意外と多いのが「退職届をもらっていない」というケースです。
口頭やLINEのやりとりだけで手続きを進めてしまうと、思わぬトラブルに発展することがあります。
退職届は、本人の自由意思による退職であることを証明する唯一の書類です。
これがないと、後から「辞めさせられた」「退職を強要された」と主張されても、会社側は反論の根拠を示しにくくなります。
実際に多いのが、離職票の離職理由をめぐるトラブルです。
会社が「自己都合」として提出したところ、本人が「会社都合だ」と主張し、ハローワークから再提出を求められることがあります。
また、有給消化や最終出勤日について、「いつまで働く約束だったのか」「有給は何日残っていたのか」など、記録があいまいなまま食い違いが生じるケースも少なくありません。
書式は自由で構いません。
便せんやレポート用紙でも、
- 日付(退職日・提出日)
- 退職理由(自己都合または一身上の都合)
-
本人の署名
があれば十分です。
宛名や定型文にこだわる必要はありません。
LINEやメールで「辞めます」と伝えられても、それだけでは証拠として弱く、後から「そんなつもりではなかった」と覆されるおそれがあります。
会社を守るためには、退職届の提出を社内ルールとして明確にしておくことが大切です。
一枚の退職届が、後の大きなトラブルを防ぐ――。
そんな意識を、日々の労務管理に取り入れていきたいところです。