自己肯定感について

社労士という仕事柄組織の「人」問題は避けて通れないものです。

問題社員の対処といういわば「止血」のお話から始まり、この採用難の時代、
いかに離職率を低くするかの方策等様々な分野でご相談を受けることも多々
あります。

社員を定着させる手段は勿論ひとつではありません。
その為の適正な評価基準の確立、賃金制度の構築等々話は広がっていくので
すが、各論の前に昨今この議論の前提として重要視されているのが、「自己
肯定感」といった「心」への配慮です。
(場合によっては似た用語で、自己重要感で説明する場合もありますが、
ここでは同義語とあえて単純化して議論を進めます。)

これは子供の教育の世界でも同様であり、ある小学校の校長先生が、教育で
最も重要な事、それは「自己肯定感を育むこと」とおっしゃっていました。

昨今では自己肯定感を持てず、あげくに鬱になる方、自分が会社から必要とさ
れていない。自分の自尊心が傷つけられた、自己重要感を感じない。といった
理由で退職をする方も多く退職理由ランキングでも上位にあがってきています。

本日は、一つの切り口としまして、この手の話になると関連して話題になる社
員指導として「褒める」か「叱る」かの議論からの考察です。

最近ではパワハラ撲滅の社会的な風潮もあいまって、「褒める」の一択!
というのが、コンセンサスになりつつありますし、人材育成においてはこの考
え方が主流となっていることは皆様もお感じになられているのではないでしょ
うか。

しかしここで重要なことは誉めるといっても「甘やかすことではない。」
ということです。
伝える(指導)べきことは伝えなくてはいけませんし、その内容がある程度負
荷のかかる厳しいものであることも時にはあるでしょう。

さらには、出来てもいないことを誉めては逆効果です。

ここでいう褒める行為とはその方の長所を見つけそれを発信する行為です。ほん
の些細なこと例えば、朝、大きな声で挨拶するのであればそれを「誉め」たたえる。
「君が入ってくると周りがぱっと明るくなるな!」なんて代表から言われて、
今日も代表の姿が見えなくなったらさぼろう!と決意する人はまずいません。

このように褒めることは、ご本人の自己肯定感に水をあげることに繋がります。

これは「評価」においても同様のロジックですが、それをやるには従業員の様子を
常に観察していなくてはなりません。
しかしそういった代表のお気持ちこそすなわち、従業員にとって、「自分は大事に
されている。」という感覚の萌芽であり、先の退職理由の対策にも繋がるかと思い
ます。

このようなお話をするとよく「甘い顔をしていたら舐められる」とか、場合によっ
ては、「そんな部下に気を使ってお客様のように接するなんて!」と憤慨されるか
たもいらっしゃいます。
しかし上記の取組は仲良しこよし集団を作るアドバイスでは決してありません。
社員が自主的かつ前向きに社業に取り組み御社(貴所)の人財となって、
売上、利益に貢献する。そのための根幹を作る取組であることはいうまでもありま
せん。

また褒めるで一番効果的なのは代表から褒められることです。
多くの場合、実務的な指導は代表自らしない事業所様も多いかと思います。
そうなると尚更、従業員の良いところばかり見つける作業をしそれを指摘するこ
とは代表の人気UPにも繋がるといったおまけも付いてくるかとも思います。

以上ご参考までに。

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問題社員対応②バックペイ

解雇が無効と判断された場合、使用者は労働者に対し、解雇時以降その判断が下さるまでの期間の給料を支払う義務が生じます。
これを「バックペイ(back pay)」と言います。
解雇のリスクとはすなわちこのバックペイ発生リスクともいえます。

通常、解雇の有効性につき争いが起こった場合、従業員に懲戒事由が「存在」してもそれが余程重大なものでない限り有効とは 認めらません。
会社として、繰り返し指導はしていましたか?改善の機会は与えましたか?就業規則に従った懲戒手続きを踏んでいますか?他 の従業員との処分の相当性は?
と様々な要件が問われるなか結果として、「確かにその従業員は問題社員ではある。しかし解雇はいわば死刑も同然。そこまで の懲戒処分はこのケースでは職権乱用といわざるをえない。」このような結論に達することはしばしばあります。
まさに盗人に追い銭のような感覚を受けますが、しかし、それが現実です。くれぐれもお気をつけください。

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問題社員対応について①

企業様をご訪問しておりますと大なり小なり表題の社員の方を抱え頭を悩ましている経営者の方からご相談を受けます。そしてこの場合、その社員をいかに成長させるか改善させるのが良いかというよりも、いかに合法的に退職させられるか!ということである場合が多いです。しかし、安易に解雇を行うことはとても企業にとってリスクが大きい行動です。それも金銭的な意味でのリスクがとても大きいことであることを十分にご理解戴きたいと思います。

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評価制度について

評価制度を設けるべきか否かを検討している中小企業の事業主様も多くいらっしゃるかと思います。導入すれば、評価項目をお互いが確認しあうことで、会社が求めていること、本人が頑張ろうとしていることの齟齬が発生しないといった効果も期待できますが、何より重要なことは、面談を通して、お互いが話し合うこと。従業員が、この会社で何を取り組もうとしているか、プライベートでどんな悩みを抱えているか。マイブームは何か等を把握するコミュニケーションの場になっていることが大切です。勿論これを飲みの席でやるのもよいですが、今は時代がそういう時代でもありませんからね。そう考えると面談でも充分となりますが、共通テーマがあったほうが良いのでそのテーマとして評価制度は有効です。また、何にこだわりがあるかは普段の観察力、洞察力がものをいいます。結局のところ大切なことは「評価」という側面より気にかけているという意味での「君をしっかり見ているよ。」ということが伝わっているか否かだと思います。

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助成金について

<①助成金と補助金>

資金調達等の情報を調べますと、表題のようにこの両者は併記されるこが多いです。ともに国、地方自治体が実施しており、返済不要の資金である。という意味では共通ですが、実は使い勝手は相当違います。

「ものづくり補助金」など、後ろに「補助金」と名前のつくものは、事業実施にあたり導入する新商品、機器等の資金の一部に対してお金が支給されます。

申請にあたっては、事業計画を示しその新機器の有用性や、生産性等を示し、採択(選考)を受けなくてはなりません。

このため、他により有用な提案をする企業様があれば採択されないということも起こります。採択率は発表されていませんが、30%前後というところではないかと推察しており、申請をしても必ずしも通るとは限りません。

一方、「キャリアアップ助成金」など後ろに「助成金」と名前のつくものは、厚生労働省が管轄となり、申請は、各地方のハローワークや労働局に対して行います。(このため、雇用保険適用事業場であるというのが多くの場合で必須条件となります。)

取組としましては、パートから正社員に雇用形態を変更した、ある研修を導入し受講させた(いずれも事前に就業規則に条文を導入)等、 主に雇用に対する取り組みを期日に即して実施をし、申請に移ります。(この時には、雇用契約書や就業規則、出勤簿・賃金台帳など法定帳簿を提出し審査を受けます。)

補助金との最大の相違は、決められた要件を期日通りに実施し、適正な帳簿を備えていれば、通常はほぼ支給されます。

幣所でお引き受けしている助成金はこちらの厚生労働省(一部地方公共団体)が実施している助成金となります。

これら書類の作成の代行は社会保険労務士の独占業務であり、資格の無い方が書類の作成・申請を代行することはできません。

勿論、会社様が独自に申請をすることも可能ですが、期日管理、要件の改定等が頻繁に入る助成金について、ただでもお忙しい社長様が、その都度、情報をキャッチし、長文のリーフレットを読みしっかりと改訂についても要件を把握することは、多大の時間を要し、また把握したところで、その助成金自体、いつまでも続くものでもありませんので、効率がよくありません。また帳簿面におきましても、知らずに法定に合致していない処理をしていることも多々生じるところでありますので、労務管理の整備とあわせ、社労士に申請を代行することが、結果として、助成事業の効率的かつ有用な実施、助成金の受給へとつながるものと思います。

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